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市川里美

「気持ち」はどこから生まれる?

更新日:2020年12月19日

『快楽の脳科学 「いい気持ち」はどこから生まれるか』廣中直行 (2003)


心の中にあると思っていた「気持ち」が、脳の機能によるものであることをこの本で知った。この本では、「脳」と心のつながりを示す。脳のシステムが暴走すると依存症が起こり、食欲も眠りも脳のシステムによる。「私」という意識でさえも脳の産物である。これを知ってしまったら、知らなかった頃には戻れない。心の専門家は脳について学んでいくことが必要だ。

 うつ病を「心の病」「心の風邪」と表現することは現在もあり、「心が弱い人がなる」「ストレスに耐えられない人がなる」と考える人もまだ多い。しかし、それは間違った理解であり、うつ病は「心」の問題ではなく、生体も含めた脳の問題であろう。

 では、カウンセリングの有効性はどこにあるのか。臨床心理学の知見が脳科学と繋がりつつある。認知行動療法やマインドフルネスが、脳機能に、あるいは脳そのものに変化を生じさせるという。対話や共感により脳が変化することも示されている。

 脳科学の知見を活かすことは、カウンセリングの効果を一層上げることにつながるのではないかと私が考えるようになったきっかけの本である。

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