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市川里美

不登校は失敗なのか?(2) 子育ての責務は母親にある?

 前回、「不登校は失敗なのか?親の反応」を書いて、「親の反応」と書きながら、私の中には「母親」が念頭にあることに気づきました。焦って早く元に戻そう(登校させよう)とするのは母親が多いように日頃私が感じているからだと思いますが、もう少し考えてみたいと思います。

 前回のブログでは、母親の「完璧主義」や「失敗したくない思い」という視点から、その反応の背景にあるものを考えてみたのですが、さらにもう一つの視点に気づきました。それは、子どもに関して責務を負っているのが圧倒的に「母親」であるということです。子どものことで相談に現れるのは母親が多い。スクールカウンセリングにも、乳幼児健診にも、保護者として現れるのは圧倒的に母親です。最近は両親揃って来談されることも増えてはきましたが、父親だけが訪れるということは、ほとんどありません。“イクメン“、“男性の育休取得“ということが言われてはいても、子どものあれこれについてのほとんどを母親が責任を負っている現状が見えてきます。


 子どもの体調が悪い時に仕事を休むのは自然と母親となっているようですし、学校に提出している緊急連絡先番号も一番目は母親の携帯電話です。そこから見ると、母親が感じている子どもに対する責任、そのプレッシャーは相当に大きいものといえるのではないでしょうか。その責任から、「早く失敗を消したい」「元に戻したい」という焦りが生まれやすい、という理解もできそうです。


 と考えると、母親ばかりに「ゆったりと長い目でみましょう」ということを提案することは、母親にさらに責務を負わせるということになるということにもなりかねません。母親は「早くなんとかしなければ」と思わざるを得ない立場に置かれている。まずはそこを緩和しなければ、ありのままの子どもを受け入れるというスタンスにはなり得ないでしょう。母親であるあなただけが責任を負うのではないこと、夫婦、家族が、学校の先生が協力する、それが母親に伝わり、安心してもらうことが必要なのだと思います。

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