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市川里美

友だちができない 

 新年度が始まり1ヶ月が経ちました。新しい環境に入られた方も多いと思います。新しい職場、部署、上司、同僚、部下。新しい学校、クラス、先生、友だち。家を出る時間、帰ってくる時間も変わることもありますから、生活リズムそのものも変化します。新しい環境になじむまでの緊張・ストレスは相当なものです。どうぞ「ゆっくり」「焦らずに」と自分に言い聞かせてください。


 新しい環境に入るとき、みなさんが心配されるのは「人とうまくやっていけるか?」ということが多いようです。職場でも学校でも同じなようです。子どもたちは「友だちができるかな?」ととても心配に感じ、大人は「人間関係がうまくいくように」と願います。それだけ人との関わりは難しいということなのでしょう。


 「友だちがいない」「友だちができない」「クラスになじめない」という相談は、学校では5月ごろに多い相談です。秋以降には「一緒にいる友だちはいるけれど、本音で話すことができていない」とその関わりに違和感を訴える相談になっていきます。


 お父さん、お母さん、先生は「友だちをつくりなさい」「学校時代にできた友達がいつまでもつきあえる友となるよ」ということを子どもたちによくお話しされるようです。お父さん、お母さんからではなくても、「友だちは必須」「友だちがいないのはダメだ」というメッセージはいろいろなところから聞こえてきます。このことに相当なプレッシャーを感じる子どもも多くいます。


 もちろん、一生つきあえるような友だち、親友ができたらよいと私も思います。けれども学校という狭い世界では、どうしても仲の良い友だちを探せないということもあると思うのです(職場という狭い世界も同じですね)。


 ”ぼっち”でも全然かまわないと思うのです。無理に友だちになるほうが、ちょっとしんどいのではないかと。教室の移動のとき一人だと寂しく思うかもしれません。下校時に「一人でいるとどう思われるんだろう?」と気にすることもあるかもしれません。けれども、そんな心配はせずに堂々としていてください。一人で全然かまわないのです。


 でも「心は閉じないで」とも思います。あなたと話したいと思っている人がいるかもしれません。「合わない」と思っていた人と波長が合う時が来るかもしれません。そのタイミングを逃さないように心は開いておいてほしいと思うのです。

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