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市川里美

心の「クセ」とカウンセリング

 トランプゲームの「神経衰弱」を一度は遊んだことがあると思います。トランプをすべて裏返しにして並べ、自分の番が来たら2枚カードをめくる。同じ数字のカードだった時には、それは自分のものになります。そして、もう一度カードを2枚めくることができます。違う数字だったら自分の番は終わり、次の人がカードをめくります。こうやってカードの数字合わせをしていくのですが、このゲームを何度か繰り返して遊ぶと、なんだか知らない間に前と同じカードをめくってしまっていることがありませんか?「あれ?これ、さっきもめくった?」と。ぼんやりしているわけではないけれど、いつの間にか同じ場所のカードをめくっている。気をつけていても、また同じカードをめくってしまい「また同じカードをめくっちゃった」と不思議な、そして情けないような気持ちになる。


 意識せずにいつの間にかそうなってしまう。そういうことが色々な場面で起こります。

歩き方、話し方、食べ方、飲み方もそうですね。これを「クセ」と言ってしまうと、少し意味合いが違うかもしれませんが、周りの人は気づいているけれど、自分では気づけていない。動画で自分の姿を客観的に見て笑い方、話し方のクセに気づいて驚いたり、恥ずかしくなるということもあります。

 心にもクセがあります。考え方、感じ方、ものの捉え方、ものごとの理由づけなどにそのクセがあらわれます。それはその人らしさでもあります。「性格」といってもいいかもしれません。そのクセが生活の中でうまく働いている時はいいのですが、そうでない時はそのクセに気づいて修正していくことが必要になります。しかしこの心のクセに気づくのが難しい。いつの間にかそうなってしまっているのですから一人で気づくことはとても難しい。心の専門家とともにクセを探索し、修正していく。それがカウンセリングの一つの目的と言えます。

 たとえクセに気づいたとしても修正が難しいこともあります。うまくいくようにと、自ら修正していこうとしているのですから、積極的に良い方向に進んで行けるかと思いきや、そのクセに気づくことにつらい思いをすることもありますし、修正という変化がこわくてなって「今のままでいい」と思ってしまうことも大いにあります。それらは心理的抵抗と言われるものです。カウンセリング中に話が逸れていったり、あるいはカウンセリングを休みたくなったり、やめたくなったり、ということにもあらわれます。そして、これも「いつの間にか」「知らず知らずのうちに」してしまうものなので、自分では気づきにくい。

 

 カウンセリングを「つらいな」、なんとなく「行きたくないな」と感じた時には、そんな抵抗が隠れていることが考えられます。今そう感じていることをカウンセラーに話してみることで、打開できるかもしれません。

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